モノの「らしさ」
木曜油絵クラスに月2回のペースで通ってこられているNさんの作品が今日完成しました。
ご本人、気に入ったところも気に入らないところもあるようですが、描ききった充実感はしっかりとあるそうです。
今回はご自身のリクエストで、自分で撮ったユリの花の写真を見ながら、描かれました。作品はこちら↓
お花屋さんで購入したユリには、花を長持ちさせるためにつみとってしまうために、多くの場合おしべがありません。でも、それではユリらしさが半減してしまいます。完成間近になってNさんもおしべめしべを描き入れたのですが、なにぶん実物が目の前に無いため想像で描くことになります。
モノの「らしさ」は多くの場合、そのモノの末端に表れます。個体ごとに微妙に形は違っても、基本となるパターンのようなものは存在します。ユリのおしべの場合、重力の関係で花粉の部分が放射状になるのではなく、平行になりがちなことを図解で説明しました。↓
日頃見ているような気になっていても、実際に描こうとすると「あれ?」ってことは良くあります。描くために観察するのと、ただぼんやりと見るのとでは、目から入ってくる情報量が違います。だからこそ、モチーフを目の前にして描いた方が、何倍も臨場感が溢れた作品になるのでしょう。
そういった意味で、じつは、デッサン力とは「きれいに描く力」ではなく、「発見する力」ということができるでしょう。
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